【製品について】 イギリス、R&A社の5インチ(12.5cm)、アルニコ フルレンジ ユニット、3902010。1950年代後半の製品。Pairでの出品です。 R&A社は、 「Reproducers & Amplifiers」という名前の通り、音響機器の中でもスピーカーとアンプに特化した、専門家集団(技術屋集団？)のような会社で、スピーカーでいえば、最終期の一部を除いて、茶系の塗装の軽量振動系のアルニコ・ユニットを作り続けるといった、一貫したポリシーが高く評価できます。(基本的にはユニット・サプライヤーとして、GECやPYE を中心に、各社にOEM供給していました。)出品の3902010でも、マグネットカバーに貼られたデカールには、特許番号がズラリと並んでいます。 1950年代から’60年代の初頭、イギリスでは、Goodmansや Decca Celestionなど、数多くの音響メーカーがしのぎを削っていました。(R&A社もその中の１つになります。)各社の競争という背景もあって、実に優秀なユニットが数多く作られた時代でした。出品のユニットも、そうした中で生産された、シングルコーンの小型アルニコ・フルレンジです。当時の主流であった、ごく軽い振動系と軽量マグネットが組み合わされたユニットです。 音質としては、エンクロージャーによって印象が大きく変わるユニットです。後面開放では、小型フルレンジにありがちなハイ上がりの傾向が強く出るため、密閉でユニットに背圧をある程度かける必要があります。容量の異なる幾つかの密閉箱で試聴しましたが、結果は意外なものでした。時代的にある程度の容量が必要だろうと思っていましたが、ベストは最も小さな密閉箱、AmpexのModel414、一辺15cmのCubeタイプでした。(やはり、技術屋集団が設計・生産したユニット。同時代の同じイギリスの他のメーカーのユニットと同列に扱うことはできないようです。) このCubeタイプのエンクロージャーでは、滑らかで品格のある中域を核にして、低域が柔らかく伸び、帯域的にも、低域から高域までウェル・バランスな音楽を聴かせてくれます。音の傾向としては、やはり、High FidelityよりGood Reproductionが基本であったこの時代の英国スピーカーらしく、あくまでも刺激の少ない、穏やかな響きが基本になった上質な英国トーンです。ただ、同時代のイギリスのビンテージス・フルレンジと較べると、少しワイド・レンジに感じられます。このCubeタイプのエンクロージャーは自信をもってお薦めできると思います。 使用するアンプとしては、時代的にやはり管球式がお薦めということになると思いますが、トランジスタ・アンプでもダンピング・ファクターが特に大きなアンプでない限り、上手にドライブできると思います。 ユニットの取り付けのネジ穴対角は11.75cm。Model414のエンクロージャーのネジ穴位置がジャスト・フィットでしたので、5インチサイズのユニットとしては標準的な大きさだと思います。 【商品の状態について】 ○時代を考えると、状態は良好です。コーン紙やエッジ、フレーム等、特に目に付くような傷みはありません。経年変化でコーン紙の中心近くに少し波打ちは見られますが、音質に影響は感じられません。 〇エッジは、フィックスド・エッジですが、この時代特有の細かなキレットは見られません。 ○DCRもよく揃っており（公称インピーダンス4Ω）、音圧差も通常の使用で問題のない範囲に収まっています。 〇４辺がカットされた特殊な形状のフレームになっていますが、いずれかのメーカーへのOEM供給品であったと考えられます。 【その他】 発送はヤマト宅急便、１ヶ口。送料着払いでお願いします。 輸送中の何らかのトラブルで、製品としての機能に問題があったり、状態が説明と著しく異なったりした場合、2週間以内に、その旨ご連絡いただければ、返品は受け付けます。 なお、同時に、趣味の音響製品を何点か出品しておりますので、よろしかったら、そちらもご覧ください。